韓国で4年ぶりの対面開催

 8月7日~9日、韓国・ソウルで「アジア平和教材実践交流会」が開催されました。この交流会は日教組が中心となり、「平和教育の推進」「正しい歴史認識の育成」などを目的として2015年以降、日本、中国、韓国の教職員団体、歴史教育者・研究者の交流の場として開催されており、このかんコロナ禍でWeb開催等を余儀なくされましたが、今年度は4年ぶりの対面開催となりました。
 埼玉教組からは同委員に日教組関東ブロックから選出されている鈴木裕也書記次長が参加しました。以下参加報告です。

 埼玉教組書記次長 鈴木裕也

 交流会では、各国の教科書の内容や改訂の傾向、授業実践報告、東アジアにおけるこれからの平和に向けて話し合いました。
 日本からは広島の原爆の被害の歴史と大久野島の毒ガス製造という加害の歴史を学ぶ修学旅行について報告されました。多くの日本人は戦争での悲惨さや苦しみについて学び、その辛さを想像してきました。私自身も広島や長崎を巡り、当時の人々の苦しみを感じて反戦・反核を訴えてきました。しかし、加害の歴史については目を閉ざされていたように思います。そう考えたとき、本当の負の遺産は、日本の加害としての人々の心理が残したものではないかと思いました。被害・加害の両面から「人が人でなくなった過去」を学習した子どもたちの変容が書かれたこの実践レポートは大変感慨深いものでした。
 中国からは抗日戦線の取り扱いについて、韓国からは日本の植民地支配についての現場での授業実践が報告されました。両国とも子どもとの対話形式で歴史について学び、理解を深めている授業が窺われました。政治での対立はあれども、貿易や音楽・映画などの文化交流を考えると、日中韓、切っても切れない関係です。
 韓国の子どもたちも中国子どもたちも、過去の教訓を生かして互いに歩み寄ろうとしています。しかし、残念なことに3カ国ともに、「歴史を学ぶ」時間がだんだんと減っているということでした。
 今回の3カ国の心の内には、常に平和への願いがあるのだと切に感じました。討論の時間だけでなく、食事をしながらの世間話やフィールドワークでの互いの感想の交流も充実した時間となりました。ひざを突き合わせて話すことが、人とのコミュニケーションにおいてどんなに大切なことかも学びました。戦争で破壊することは、一瞬のことです。対話で平和を築き上げることは確かに時間がかかることです。
 民主主義とは、時間がかかるものです。この地球で未来を共にする仲間と、話し合い、学び合い、助け合って生きていかなければなりません。
 平和を希求する心は万国共通です。私の仕事は、そんな平和の種を教室で子どもたちの心の中に蒔いて育てることだとの思いを一層強くしました。


 

関連記事


ページ上部へ戻る