議論なき安保三文書改定を許すな

 12月16日、岸田政権は、安全保障三文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)の改定を閣議決定しました。これまでの日本の安全保障政策を大転換させものであるにもかかわらず、国会での議論を行わず決定することは民主国家として到底認められるものではありません。12月15日には「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」などが主催する「『安保関連3文書』閣議決定反対12・15国会議員会館前緊急行動」が行われ、日教組の仲間とともに埼玉教組からも参加しました。また、16日早朝には、首相官邸前での抗議行動、19日には議院会館前での行動(19日行動)も行われました。

敵基地攻撃は日本壊滅への道

 国家防衛戦略では、敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有するとしています。敵基地攻撃能力は、相手国が攻撃に着手した段階で認定できるとしていますが、その見極めは難しく、判断を誤れば、先制攻撃となり憲法第九条のみならず、国際法にも反する行為となります。 たとえ、着手後であっても日本が反撃をすれば、相手国からのさらなる攻撃が当然予想されます。日本海沿いに林立する原子力発電所がミサイル攻撃を受ければ壊滅的な被害を受けることは明白です。また、日本が長距離ミサイルを保有すれば、周辺国の警戒、緊張は高まり、際限のない軍拡競争が引き起こされることは容易に想像されます。

政治・外交で戦争抑止を

 私たちは、憲法前文にある「国際社会と協調して理想の現実に向かうこと」をめざしていくべきであり、政治・外交で戦争を抑止することが日本のとるべき唯一の方策です。
 例えば、ウクライナは2014年のロシアのクリミア併合を受け、更なるロシアの侵略を避けるようと軍事増強にとりくみ、徴兵制を復活させ、NATO諸国からの支援を受け新たな兵器も導入しました。しかし、結局今回のロシアの侵攻を防ぐことはできませんでした。
まさに「軍備増強で戦争は防げない」ことを如実に示しています。
 しかし、今回の防衛力整備計画では、必要経費として5年間で総額43兆円が計上されています。政府は防衛費をGDPの2%まで引き上げるとしており、そうなれば、日本は世界3位の軍事大国となります。軍事力増強そのものの是非を論ずることなく、財源や増税を論ずることは、本末転倒であり、復興予算の転用も許されるものではありません。
 国民生活は、長引く感染症の影響から厳しい状況に追い込まれており、物価の上昇、少子高齢化、貧困・格差問題、教育や環境問題等多くの課題がある中で、防衛力の増強のみに注力することは、市民の暮らしをないがしろにしており、断じて許されません。

 私たちは、岸田政権によるこの閣議決定に強く抗議し、「教え子を再び戦場に送るな」の決意のもと、戦争につながる動きを断固阻止し、憲法の理念を護るため、日教組(日教組は12月16日安全保障3文書に抗議する書記長談話を発出しています)や平和を求める多くの仲間と連帯し、すべての組合員の力を結集して全力でたたかいます。


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