日教組第73次・第34回埼玉教育研究集会
10月22日、日教組第73次・第34回埼玉教育研究集会が10月22日嵐山町の国立女性教育会館で開催されました。
記念講演会では、瀬山紀子埼玉大学准教授(ダイバーシティ推進センター所属)に、「性別にとらわれず、一人ひとりを尊重する教育のあり方を考える~教育におけるジェンダー平等の実現に向けて」というテーマでお話をしていただきました。
講演の冒頭、『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』(河出書房新書)という本の紹介がありました。アダム・スミスは、「経済学の父」と呼ばれる18世紀の経済学者です。「彼の食卓では、その妻である女性が無償で働いており、その意味で女性はつねに国家の富に貢献してきたはずなのに、経済学者はその価値をおとしめ続けてきた」という視点で書かれた書籍です。
ジェンダーとは、社会文化的性差であることを再確認し、「男・女は、生物学的に異なり、その異なりは自然でり、不変である」という考えに対して、「性別に関わる意味づけは社会的文化的につくられたもので変化し、それを変えていくことが可能である」という考え方が「ジェンダー平等」で、その考えのもとに様々の施策を進めていく必要があるということでした。
講演では、「男性が女性よりも管理職に向いている」「理科系の教科は、男子児童・生徒のほうが能力が高いと思っている層は、50歳以上より20歳以下の若年層のほうが多い」など様々なデーターが提示されました。
また、「現代の日本の若者がより保守的になっていることはなぜだろう」などの課題を途中で4~5人のグループで話合うという手法を取り入れた講演でした。
不平等が見えにくい日本社会
日本では、「学校は建前としては男女平等が実現しており、ジェンダー不平等の問題が見えにくい」という傾向があるが、実際には、「隠れたカリキュラム」が多数あるという指摘をしました。例えば教室の掲示物など「男子が先の男女別」だったり、教師が男子生徒は「くん」女子は「さん」と呼称する、役割分担も副や補助は女子に割りあてる傾向がある、学用品を男女色分けで購入しているなどがあげられていました。
また、歴史の学習では教科書の記述も含めて、歴史上の人物を男性を中心に学んでいる場合が多いという問題点も指摘されました。そのような学校教育での影響を受けながら、社会に出てはじめてジェンダーの問題が現実として感じられるというのが日本社会であるということでした。
午後からの分科会では、5つの分科会にわかれて、レポートの報告がありました。それぞれの場で熱心な討論が行われました。
尚、各分科会及び運営委員会で慎重に検討した結果、3年ぶりに対面で開催される日教組全国教育研究集会には、佐々木俊二さん(算数・数学)、と目時和枝さん(総合的な学習)が参加することになりました。