多忙化の元凶 全国学テを廃止しよう!!
経費は37億円5000万円
4月18日、文科省「全国学力・学習状況調査」が実施されました。文科省の「全国学テ」は1956年から実施されていましたが、「教員が答えを教える」「成績の悪い生徒を休ませる」など様々な問題が発生し、岩手や北海道では反対する教員が逮捕され刑事事件に(岩教組学テ事件、旭川学テ事件)になったこともあり、1966年(この年旭川地裁は全国学テは違法とする判決をだしました)以降は実施されませんでした。
しかし、文科省は2007年から(その後の最高裁判決でも文科省に実施の権限はないとされていることから)市町村教委が「自主的に参加する」という形で再開しており、毎年、実施前に市町村教委に参加の意向を尋ねています。埼玉教組は県内すべての市町村教委に参加について、教育委員会の場で「不参加も含め慎重に検討する」よう要請しています。
今年度の調査では、中学校で4年ぶりに英語の調査が実施され、ヘッドセットとタブレットを用いた「話すこと」調査がオンラインで行われます。アクセス集中を防ぐため、18日は中学約9800校のうち約500校のみで実施し、他は5月26日までに随時行うことになっており、明らかに生徒や教員の負担増になっています。
今年度の調査費は約37億5000万円で、小学校はZ会、中学校は内田洋行が委託を受け実施し、現場の負担とは裏腹に、教育産業に多大な利益をもたらしています。
「全国学テはなぜ失敗したのか」(岩波書店)を著した福岡教育大の川口俊明准教授は、
実際の調査結果から「国語の平均点」と「就学援助率」に強い相関関係があることを実証し、親の経済力と子どもの学力に相関関係があることを明らかにし「学校の平均点が学校や教員の質のあらわれ」とする考えを否定しています。
にもかかわらず、都道府県や市町村別の平均点を公表することは、(市町村の段階では学校別の平均点を公表しているところもある)不必要な競争を誘発し、子どもや教員の負担増を強いています。一方で、「過去問を繰り返す」ことで、点数が上がるとされ、教育課程を歪める行為が全国各地で見られます。まさに、「百害あって一利なし」です。
今回の調査で、各学校で具体的な負担増や問題がある対応があれば、速やかに埼玉教組にお知らせ下さい。埼玉教組は「全国学テの早急な廃止。少なくとも抽出での実施」を現場の声として強く求めていきます。