人を増やさなければ「働き方改革」はすすまない

連合総研シンポジュウム

 9月7日、連合の研究機関である「連合総合生活開発研究所」がシンポジウムを開き、全国の小中高校・特別支援学校の教員9000人余りを対象に行った労働時間の調査結果の速報値を発表しました。

 発表によると、平日の一日当たりの労働時間は12時間余り、月当たりの時間外労働は123時間余りで、2015年の前回調査から大きな変化はなく、法改正や業務の見直しによる「働き方改革」の効果が現場に反映していない実態が明らかになっています。

 一方、多くの対象者は「管理職の多くが残業時間の上限を職場に周知したり、教員ごとの在校時間を管理したりしている」などと管理職の姿勢が変わってきていることを評価しているものの、一方でコロナ感染症対応を含め縮減された部分に新たな業務が入り込み、実態が改善していないことが指摘されています。

 発表後のパネルディスカッションで、文科省村尾財務課長は「時間外勤務が減ってきているという別の調査結果もあるが、定数の改善や部活動などの業務をスタッフに任せるなど、対策を進めたい」と述べました。

 また、今回の調査分析を担当した油布佐和子さん(早稲田大学大学院教授)は「学校では働き方改革への努力も見られるが、『主体的対話的な深い学び』など新たな指導法や小学校英語の教科化など新たな教育内容が増えているため教員の負担は減っていない。教員の定数を増やすなど、早急な環境の改善が必要だ」と述べました。

 さらに、パネラーの小学校・中学校の現職教員からは「部活動終了後(勤務時間終了後)でなければ教材研究などの日常的な業務を始められない」「病気休職者の代替が見つからず、教員の負担が増える悪循環がおきている」などの厳しい学校現場の実態が語られました。

 働き方改革は現場の努力では限界があります。全国学力テストを廃止するなど文科省が具体的な業務削減をすすめなければ解決しない問題です。


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