沖縄だより その1
南支部 小池隆夫
南支部の小池隆夫さんが定年退職後も勤務していた学校現場に区切りを付け、長年の希望だった沖縄での生活をおくることとなりました。当面は6ヶ月の短期移住だということですが沖縄での生活で感じたことなどを連載します。
9月から半年間、沖縄に住むことにしました。琉球大学の近くに部屋を借りるために,7月に9日ほど琉大近くの友人の部屋に厄介になりました。今回は上記の目的のため、観光らしい観光はせず、時間があれば琉大の図書館や風樹館という農学部の博物館などをめぐりました。
風樹館では琉球王朝時代に民衆支配のために使われた「わら算」をシカゴ大学やカリフォルニア大学から訪れた教授や学生と一緒に説明を受ける貴重な体験ができました。またハマイヌビワという植物を採集している女性研究者に話しかけ、この植物が実の中に花を咲かせ、小さな蜂と共生することで繁殖できるという不思議な話を聞くことができました。
今回の参院選投票日の後に,『アリの兵隊』の上映会が琉大の学生によって企画され、私も参加しました。上映後のトークの中で、女子学生の一人が今回の選挙はとてもつらかったと話しました。
沖縄でも、排外主義を主張する政党への支持が大学生にも広がり、うまくコミュニケーションがとれない苦しさを感じたというのです。「反戦平和」の島沖縄というイメージだけでは語れぬ現実を見せつけられ,考え込みました。
それでも若者たちが『アリの兵隊」を通して日本の被害だけでなく、加害の真実に向き合おうとしていることに胸が熱くなりました。希望は種は小さくともあるのです。
*『アリの兵隊』~中国山西省日本軍残留問題を描いたドキュメンタリー映画。残留日本兵の1人、奥村和一へのインタビュー形式をとっている。2006年に公開されている

