「全国学テ」不参加も選択枝!

 文科省は202 3 年12月21日、2024年度全国学力・学習状況調査について、小学校6年生と中学校3年生が国語と算数(数学)2教科を2024年4月18日(木)に実施するとして、通知文と実施要領を発出しました。また参加の主体である市町村教育委員会に調査への参加の有無を回答するように求めています。
 これを受け、埼玉教組はさいたま市を含む県内すべての市町村教委に対し、「他の学力テスト等の実施状況、子どもに及ぼす影響や教職員への負担、働き方改革の進捗の状況等を踏まえ、教育委員会事務局の判断でなく、教育委員会の議題とし、十分に検討した上で判断すること」を求めた要請書を発出しました。
 また、参加する場合は「調査の点数向上を目的とした宿題や補習の強化、教育課程を変更しての事前練習等を強要しないこと。事前対策や自校採点の指示や奨励等を行わないこと」を求めています。
 今年度の全国学テは小学校は(株)Z 会が約14億で、中学校は(株)内田洋行が約23億5000万円で入札し、実施しています。毎年30数億円を優に超える税金がつぎ込まれているわけです。
 文科省は全国学テは「全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る」ことを目的にするとしていますが、十分に成果のあがっていない地域や学校の改善を図る手立てはいっこうに実施されていません。
 調査の結果「読書の好きな児童は国語の成績がよい」「保護者の家計収入や学歴を示す「社会経済的背景」(学校SES)の度合いが高い学校ほど学力テスト結果も良好である」など至極当然の結果が示され、何の改善にも繋がっていません。全国平均を基準にすればそれを上回るところと下回るところがあるのは当然です。不必要な数値競争を招いています。

 2018年には全国学テで上位を占めている福井県議会が中二男子の校舎からの飛び降り自殺に際し、「『学力日本一』を維持することが教育現場に無言のプレッシャーを与え、教員、生徒双方のストレスの要因となっている。日本一であり続けることが目的化し、本来の公教育のあるべき姿が見失われてきたのではないか検証する必要がある」とする意見書を採択し、学力偏重の全国学テに疑問を投げかけています。
 また、2019年には高知県土佐町議会が「全国学テを抽出で行うことを文科省に求めた」意見書を採択していますが、残念ながらこのような動きは広まってはいません。「全国学テ」は市町村教委が参加主体であり、かつては不参加を表明したところ(岐阜県犬山市)もありました。
 多忙化を極めている現状のなかで市町村教委はおざなりの参加ではなく、子どもたちや教職員の実態を踏まえ、慎重に検討することが求められます。


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