事件の風化は許されない~ 関東大震災朝鮮人虐殺事件

建国記念の日を考える2.11集会

 建国記念の日は「国民の祝日に関する法律」に定められた16の祝日のうち、唯一、期日の指定がなく「政令の定める日」となっている祝日で、その制定そのものに大きな議論がありました。 天孫降臨の建国神話を事実と主張し、神武天皇が即位したとされる紀元前660年の2月11日を「建国記念日」として制定する勢力もありました。

 これまで、平和フォーラムでは様々なテーマで「建国記念の日を考える2.11集会」を開催してきましたが、関東大震災朝鮮人虐殺事件から100年目となる今年の集会は、「関東大震災時に虐殺された朝鮮人遺骨を発掘し追悼する会(一般社団法人ほうせんか)の西崎雅夫さんを講師として開催されました。
  集会では、冒頭、1983年に制作されたドキメンタリー映画「映画『隠された爪跡』が上映されました。1982年に行われた関東大震災時(1923年9月)に虐殺され荒川の河川敷に埋められた朝鮮人の遺骨の発掘作業を中心に、当時を知る人々の証言を記録したドキメンタリー映画です。発掘調査は「1日一ヶ所掘って埋め戻す」「試掘個所は3か所(3日間)」という厳しい条件での調査のため、遺骨は発掘できませんでした。
 一方で、発掘調査を知り新たな証言をする人々も数多くいました。この頃は関東大震災を体験したお年寄りがまだ存命で、朝鮮人虐殺の現場を目撃した人も少なくなかったのでした。「いまだに関東大震災の時のことを思い出して夜中、恐怖で叫び声をあげる」という老人の証言もあり、当時の恐怖が伝わってくるようでした。
 また、少年時代や若い頃に朝鮮人虐殺を目撃した日本人の証言もあり、震災や虐殺を直接体験した人がいなくなってしなった現在、生き証人たちの姿をフィルムに残した貴重な映画と改めて感じられました。

隠された大虐殺

 その後の西崎さんの講演では「虐殺が軍や警察の公式の記録にはほとんど残っていない」ことや「朝鮮人の暴動や井戸に毒を入れたなどのデマが警察や憲兵隊によって流されていた」こと「自警団のみならず軍隊自らも虐殺を行っていた」ことなどが生々しく語られました。西崎さんは都内の中学校で社会科教員として勤務する傍ら、現在、「社団法人 ほうせんか」を設立し、関東大震災時に虐殺された韓国・朝鮮人犠牲者の追悼事業や学習会・フィールドワーク等を開催しています。
 私たちの過去の過ちを風化させることなく、決して繰り返すことを許さず、そして新たな差別を生み出さない努力・とりくみがすすめていくことが重要であると感じさせる集会となりました。


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